【卓球メンタル】失点を引きずらない|フェデラーの「It’s only a point」
- 公開日
- 2026.11.01
- 更新日
- 2026.10.31
卓球では、サービスミスやチャンスボールのミスをきっかけに、連続して失点することがあります。
しかし、どれだけ強い選手でも、すべてのポイントを取ることはできません。大切なのは、失点しないことではなく、失点を次のポイントまで引きずらないことです。
フェデラーも取ったポイントは54%だった
元プロテニス選手のロジャー・フェデラーは、2024年のダートマス大学の卒業式で、現役時代にシングルスの試合では約80%勝った一方、獲得したポイントは全体の約54%だったと話しています。
そして、一つのポイントが終わったら、それを過去のものとして次へ進むことが大切だと伝えました。
テニスと卓球では得点方式が異なるため、この数字をそのまま卓球に当てはめることはできません。ただし、失点を必要以上に引きずらず、次のポイントに集中するという考え方は、卓球にも通じます。

3-0で勝っても多くのポイントを失っている
5ゲームマッチで、次のように勝ったとします。
- 第1ゲーム:11-9
- 第2ゲーム:11-9
- 第3ゲーム:11-9
試合結果は3-0ですが、総得点は「33-27」です。
勝った選手のポイント獲得率は、
33 ÷ 60=55%
となります。
3-0で勝った選手でも、全ポイントの45%は失っています。試合結果だけを見ると完勝に見えますが、実際には半分近くのポイントを相手に取られているのです。
総得点で負けても試合には勝てる
次のような試合もあります。
- 第1ゲーム:11-9
- 第2ゲーム:11-9
- 第3ゲーム:4-11
- 第4ゲーム:11-9
試合には3-1で勝っていますが、総得点は「37-38」です。
つまり、獲得したポイントの合計では相手より少なくても、試合には勝てます。
卓球では、1ゲームを11-0で取っても11-9で取っても、試合上は同じ「1ゲーム」です。反対に、1ゲームを大差で落としても、次のゲームを取り直せば勝つことができます。
すべてのポイントを取ろうとするよりも、終わった失点を切り離し、次のゲームや大切な場面に集中することが重要です。
ミスを反省することと、引きずることは違う
ミスの原因を考えること自体は必要です。
例えば、レシーブミスのあとに「次は少し面を立てよう」と修正するのは、次のプレーにつながる反省です。
一方で、
- またミスをするかもしれない
- さっきのボールは決めたかった
- 自分は調子が悪い
と考え続けても、次のポイントには役立ちません。
反省は短く具体的に行い、修正点を一つ決めたら、意識を次のプレーへ戻します。
次の1点へ切り替える方法
失点したときは、次のような流れを決めておくと切り替えやすくなります。
- 失点した事実を受け入れる
- 台から少し離れて呼吸を整える
- 次に行うことを一つだけ決める
- 構え直して次のポイントに集中する
「絶対にミスしない」と考えるよりも、「次は相手のバック側へ長く返す」のように、具体的な行動を決める方がプレーに意識を戻しやすくなります。
練習でも切り替えを身につける
試合のときだけ気持ちを切り替えようとしても、すぐにできるとは限りません。普段の練習から、ミスのあとの行動を意識することが大切です。
例えば、ミスをしたら一度息を吐き、次の1球で意識することを決めてから構えます。
多球練習やゲーム練習でも、成功した回数だけでなく、ミスのあとにどう立て直したかを見ることで、切り替える力を身につけられます。
指導者ができる声かけ
選手がミスを引きずっているときに、原因を何度も指摘すると、さらに失敗へ意識が向く場合があります。
そのようなときは、
- 「次はどこを狙う?」
- 「今できることは何?」
- 「一度呼吸して構え直そう」
など、次の行動へ意識を向ける声かけが有効です。
ただし、切り替え方は選手によって異なります。すぐに助言する方がよい選手もいれば、少し時間を置いた方が落ち着く選手もいます。普段の練習から、その選手に合う方法を一緒に探すことが必要です。
まとめ
卓球では、勝った試合でも多くのポイントを失います。場合によっては、総得点で相手を下回っていても試合に勝てます。
強い選手とは、失点しない選手ではありません。
失点から必要なことだけを学び、次の1点へ切り替えられる選手です。
ミスをなくそうとするだけでなく、ミスをしたあとにどう構え直すかも、普段の練習から身につけていきましょう。
参考:Roger Federer’s 2024 Dartmouth Commencement Address
https://home.dartmouth.edu/news/2024/06/2024-commencement-address-roger-federer