【卓球コーチング】ヒック・ハイマンの法則|相手に「迷い」をつくるサービスと配球
- 公開日
- 2026.10.29
- 更新日
- 2026.10.27
フォア側に来るとわかっていれば打てるのに、フォアとバックのどちらに来るかわからなくなると、間に合わなくなる。
この違いを考える手がかりになるのが、心理学の「ヒック・ハイマンの法則」です。
ヒック・ハイマンの法則とは?
ヒック・ハイマンの法則は、選択反応課題において、選択肢の不確実さが増えるほど、反応に時間がかかる関係を表したものです。
例えば、光ったランプに対応するボタンを押す課題を考えてみましょう。
押すボタンが決まっていれば、光ったら押せば済みます。一方、複数の候補がある場合は、どのランプが光ったかを見分け、対応するボタンを選ぶ必要があります。
ただし、「選択肢が2倍になると、反応時間も2倍になる」という意味ではありません。選択肢が同じ確率で現れる条件では、選択肢が2倍になるごとに、反応時間が一定量ずつ増える関係が基本になります。

卓球でも「何が来るかわからない」が負担になる
フォア側にしか来なければ、フォアで打つ準備に集中できます。一方、バックやミドル、短いボールも来るなら、状況に応じて動きや打ち方を変える必要があります。
大切なのは、コースやサービスの種類だけでなく、相手が次のボールをどこまで絞り込めるかです。
例えば、ロングとショートを使い分けても、構えや動作で見分けられれば、相手は早く準備できます。似た動作から異なるボールを出せることが、相手の予測を難しくする工夫になります。
これは、ヒック・ハイマンの法則を手がかりにした、卓球の戦術上の考え方です。
サービスは、つくりたい展開で選ぶ
例えば、次のサービスを使える選手がいるとします。
- フォアサービス:下回転は出せるが、ロングは出せない
- バックサービス:下回転は出せないが、横回転のロングとショートを出せる
相手が下回転サービスをツッツキで返し、その展開で自分が有利なら、フォアサービスを使う理由があります。読まれていても、得意な展開をつくれるなら有効です。
一方、ツッツキの展開では分が悪ければ、バックサービスの長短を使い分け、相手に前後の対応を求める方法が考えられます。
ただし、長短を使えるだけで有利になるとは限りません。ロングを狙い打たれることも、下回転をフリックで攻められることもあります。
相手に迷いを与えられるかと、その後に自分が得点しやすいか。その両方でサービスを選びましょう。
変化を増やすことが目的ではない
同じパターンで得点できているなら、無理に変える必要はありません。また、コースがわかっていても返せないスピードや回転も、有効な攻めです。
見直したいのは、相手が余裕を持って、得意な対応を繰り返しているときです。
相手は何を待っているか? 何を変えると、対応が難しくなるか?
この視点を持つことで、強く打つ以外の攻め方も見えてきます。
練習でも「見て対応する力」を育てる
コースを決めた基礎練習に加え、習熟度に応じて、行き先や本数が変わる練習を取り入れる方法があります。
狙いは、単純な反射速度だけでなく、相手やボールを見て、動きや打ち方を切り替える力を育てることです。難しすぎる場合は、球速や配球範囲を調整しましょう。
卓球では、相手の動きからの予測や、動きながらの調整が関わります。そのため、ヒック・ハイマンの法則をそのまま試合に当てはめ、「選択肢を増やせば必ず対応が遅れる」とは言えません。
それでも、**「相手に対応を一つに絞らせていないか」**を考える手がかりになります。
次の試合では、ボールの強さだけでなく、相手がどのような準備をして待っているかにも目を向けてみてください。